取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
2 勤務負担軽減 |
補助職(医師事務作業補助者、看護補助者等)を配置している |
【取組(2)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
2 勤務負担軽減 |
チーム医療や多職種連携(業務分担・連携の強化等)により負担軽減を図っている |
取り組みのきっかけ、背景、取り組み前の問題点
薬剤師の地域偏在が全国的に問題となっており、特に地方の病院において薬剤師の確保は深刻な状況となっています。当院においても慢性的に薬剤師が不足しており、薬剤業務に見合った薬剤師数の確保が困難な状況にあります。
現在病床数233床に対して常勤薬剤師3名(内1名育児休暇中)と少なく、薬剤師のパワー不足に苦慮しています。そのため、事務職員を薬剤部に配置(常勤2名、パート0.5名)し、薬剤師の業務支援を行うと同時に、院内における医薬品の出納管理や薬剤部での業務効率、精度管理など、事務職の視点から提案が行える教育方針を実施しております。
取り組み対象
- 取り組み対象
コメディカル
- 取り組みの中心部署・人物
薬剤部
- 取り組み詳細
当院では、新人事務職員を医療専門職の各部署に一定期間配属する人材育成を行っております。そこで、今回は初期育成研修で薬剤部に配属された事務職員が「薬剤業務の軽減と処方精度向上」の課題に取組みました。
・院外保険薬局からの疑義照会
薬剤部配属の事務職員は、医薬品の管理、入院患者の内服薬や注射薬の個人別セットの支援、庶務業務、院内外からの電話対応などの業務を行います。特に電話対応における「院外保険薬局からの疑義照会」は、多くの時間を要する煩雑な業務です。2017年実施のタイムスタディ調査によると、1件の疑義照会にかかる電話対応の時間は平均12.95分【内薬剤師4.64分(35.8%)、事務職員8.31分(64.2%)】となっています。≪院外薬局からの疑義紹介の流れ≫
今回は事務職員が主体となり、疑義照会を減らす取組みを検討しました。最初に 2016年12月から2017年3月の4か月間に疑義照会された内容を記録、分析しました。
院外保険薬局から院外処方せんの疑義照会された総件数は235件でした。
内訳は「医師と患者とのコミュニケーション不足」102件(43%)、「処方せんの記載不備」74件(31%)、この2項目で全体の3/4を占めていました。他は「薬学的管理の問題」が39件(17%)。次に、問題解決の手法としてQC(Quality Control)ストーリーに従い、疑義発生の要因解析、課題抽出、対策の考案と実施による効果について検討を行いました。
電話受け➡電子カルテによる処方確認➡薬剤師への確認➡処方医への確認➡「処方せんの記載不備」の内訳は、「外用薬などの単位、規格」についての確認が58%、全体の半数以上を占めていました。そこで2017年1月から、医療秘書(当院では「医師事務作業補助者」を医療秘書と呼んでいます)を介した「電子カルテの処方修正の徹底」、「各診察室へ外用薬単位換算表の配布」を行いました。
保険薬局へ回答➡医療秘書による処方箋の修正(⇒内容と結果の記録⇒QCストーリーによる課題解決)
次に「医師と患者とのコミュニケーション不足」の具体的な内容は、①処方変更、②日数確認、③薬剤追加希望、④薬剤変更希望、⑤薬剤不要などでした。これらは診察の場においての対応が必要と考え、2017年7月から、医療秘書に医師と患者の橋渡しとなり、話しやすい環境をつくるように協力を依頼しました。
実施後の成果
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
多職種連携による負担軽減 | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☑コメディカル,☐看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 【取組(2)】 | |
成果指標 | ・疑義照会の減少による薬剤業務の軽減と処方精度の向上の達成 2016年12月 全疑義照会件数70件。内「処方箋の記載不備」32件。
2017年01月 『電子カルテの処方修正の徹底』と『外用薬の単位換算表の配布』
2017年03月 全疑義照会件数59件に減少。内「処方箋の記載不備」11件。
2017年07月 全疑義照会件数の内「医師と患者のコミュニケーション不足」32件。
『医療秘書へ医師と患者との橋渡しの役割協力依頼』 2017年08月 「医師と患者のコミュニケーション不足」18件に減少。
その後の継続調査で、疑義照会に対する取組みの効果は、一時的であり持続的な効果は確認できませんでした。ただ「処方箋記載不備」を原因とする疑義照会に関しては、処方箋枚数の比率が約0.25%と非常に少なく維持できていました。 |
Ⅳ.働きがいの向上_成果 | ||
1 キャリア形成支援 成果 | ||
組織が期待するような職員のキャリア形成(職員の業務遂行能力の向上、期待どおり又は期待以上の能力の発揮等)が実現されている | ||
成果の出た対象 | ☐医師,☑コメディカル,☐看護職,☐事務職 | |
成果に影響を与えた取り組み | 【取組(1)】 【取組(2)】 | |
成果指標 | 事務職員の初期研修における医療専門職の各部署への配属は、職種間の連携や業務課題の抽出や解決能力を養うなど、人材育成を行う上で大変有用でした。また事務職員本人のモチベーションもアップするという効果がありました。 |
これまでの取り組み成果に対する院内の声・反応
今後の課題等について
2017年11月 薬剤部配属の薬剤師と事務職員のタイムスタディ調査を実施しました。調査の目的は薬剤師の従来業務に加えて「病棟業務」を加えるための新たな支援体制を検討することでした。そこで「薬剤師業務の一部代行」の取組みを行いました。結果は「一部業務代行」は、可能ではあるものの限界があることが分かりました。
タイムスタディ調査では、業務の洗い出しとかかる時間を把握することができました。今後は、調査分析した結果をもとに、更なるタスクシフトの可能性を模索し、業務の効率化につなげていきたいと思います。
昨今、医療現場におけるチーム医療の必然性は、誰もが認めるところであり、事務職員は病院全体の業務を把握するチームの一員として医療の専門職と連携する必要があります。また、患者さんとのコミュニケーションを深めることで業務効率化やサービスの向上、他職種から信頼され業務を任せてもらえる職種を目指したいと思います。
取り組み・提案者概要
- 取組者
- 法人全体の取組
- 法人名
- 寿人会
- 病院名
- 木村病院
- 法人(病院)の開設主体
- 医療法人
- 所在地
- 福井県鯖江市旭町4-4-9
- 主たる医療機能の特徴
- 回復期機能
- 一般病床
- 病床数: 88
- 入院基本料:10対1
- 療養病床
- 病床数: 90
- 入院基本料:療養病棟入院基本料1
- 結核病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- その他病床
- 病床名:回復期リハビリテーション病床
- 病床数:55
- 入院基本料:13対1
- 一日あたりの平均外来患者数
- 174.2人(令和1年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 214.9人(令和1年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 47.4日(令和1年度数値)
- 病床稼働率
- 93%(令和1年度数値)
- 職員総数
- 319人(令和1年度数値)
- 医師
- 44人
- 看護職
- 122人
- 医師事務作業補助者
- 9人
- 看護補助者
- 37人
- 医師の交代制勤務の有無
- なし
- 看護師の交代勤務の状況
- 2交代制(変則含)
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について